色鉛筆で絵を描き始めてから、好奇心が強くなった。描きたい物をじっくり観察すると、同時に疑問がいろいろ湧いてくる。
これ、どうやって描こ?
何色で塗ろ?
背景は何を描こ?
そして普段から身の回りの物を、よりじっくり観察するようになる。そしてまた疑問が湧き、解決するために、あれこれ塗り試す。
作りたい色がなかなかできず、重ね塗りしすぎてどうにもならず、一からやり直そうと、練り消しゴムでギュッと押さえて消そうとしたら、まさに求めていた色が出来たことがあった。
「失敗は成功の基」、「為せば成る成さねばならない何事も」、をわかりやすく体験した。
しかしながら学生の頃や、社会人になり営業職に就いた頃は、好奇心よりも警戒心が強かった。
石橋を何度も叩き、自分にできるかできないかを考えていた。したいかしたくないかではなく、しなければいけないかどうかで、決めていたと思う。
営業職で何度も浮き沈みし3年経ったある時じっくり考えた。自分が本当にしたいわけではない仕事で、こんなに何度も何度も悩まないといけないのか?私が本当にしたいことは何?
高校生の時、同級生の女の子が将来警察官になると言っていたことを思い出した。その時私は、警察官かぁ、かっこいいなぁ、でもあんな大変な仕事は私には無理、と思った。でも無理だと思っていた営業の仕事がなんとか3年続いた。やればできた。だったら、警察官の仕事もやればできるんじゃないか。
決心を固め、仕事を辞め、警察官採用の勉強を始めた。
今思えば前向きな退職ではなく、嫌な仕事を辞める「逃げ」でしかなかった。結果的に、警察官になることはできず、色鉛筆アートを知ることができた。
そして警戒心よりも、好奇心が強くなった。
したくなくて、しなくて良いことは、しなくていい。他人の権利を奪わない限り何をしても良い。はずだけれど、自分がしたいことを優先するというのは、実際のところ簡単ではない。世間体や他人の気持ちを考え、自分の願望を後回しにする。
そんな時を経て今は好奇心が強く行動力が全開になり、よりじっくり自然を観察していると、生物や自然が好きだったこともあり、絵の描き方以外にも、いろいろ疑問を抱くことになった。
初めて体験レッスンをした時、同じ色鉛筆や画材を使い、私が描いた見本の下絵をなぞり、ピーマンの絵を描いてもらったら、完成した参加者みなさんのピーマンの色はそれぞれ違い、一人ひとり物の見方や色の見え方が違うことに気づかされた。そして思った。
同じ手順で絵を描いているのに、なぜこんなにも違うピーマンができるのか?
人それぞれの色彩感覚の違いが生じる脳のしくみはどうなっているのか?
そもそも私も、絵を描くことに全く興味がなかったのに、なぜこんなにも絵に惹かれるようになったのか?
できなかったことが、できるようになる脳のしくみはどうなっているのか?
身体や脳のしくみについてネットで調べ、脳科学の本を読んでいると、なるほど、可能性の本質は、つまりはできるとできないの違いはそういうことで起きるのかと思った。