2001年当時、ドイツの通貨はマルクだった。ドイツの物価は、当時の為替もあり日本よりも安く感じた。
2002年1月1日にユーロに変わった時に色んな物が便乗値上げされたようだが、それでも物価高を感じることはなかった。スーパーで売られているジャガイモやその他の野菜、ウインナーやチーズがとても安くて驚いた。それに美味しかった。
“ドイツならでは”あるいは“コンスタンツならでは”と感じることもあった。空瓶をスーパーに持参し、スーパーに設置されている機械に空瓶を入れるとお金が返金されるデポジットの習慣があった。
またスーパーでは、自分の買い物袋に商品を入れて店内を巡る客を見かけて驚いた。買い物袋に入れた商品を、レジで全て取り出し、買い物袋が空になったのをレジの店員に見せ、料金の支払いをしていた。厳格でルールに厳しいドイツのイメージを垣間見た気がした。
また20年前の日本ではまだ、買い物袋が必要か否かが尋ねられることはなかったが、ドイツでは当時から「Eine Tüte?/ 袋は?」と聞かれた。外国人の私だけにではなく全ての客に対して、文章ではなく短い言葉で"Eine Tüte?"と尋ねる習慣も、日本とは全く違うと思った。
車の通行も人通りもない赤信号でも、歩行者の人たちは青になるまできちんと待っていた。バス停でバスを待っている時、見知らぬ人が 「Guten Tag/こんにちは」と挨拶してくれることが度々あった。
コンスタンツの街にあるCDショップでは、ビニール包装がされていないCDが店頭に並び、すべてのCDが視聴できるようになっていた。客はみな、店員に確認することなく気になるCDを店内のCDプレーヤーで視聴し、聞き終わるとCDケースに入れ元の売り場へ戻していた。
人が法律を守らなければならないのは当たり前。ドイツは何だか、居心地良く感じた。
一方で、日本を出て分かる日本の良さが多々ある。どこにでもトイレがある。無料でトイレが使える。温泉がある。美味しい魚が食べられる。チップの支払いがない。ホスピタリティーに溢れている。
でも当時の私にとって、自然に囲まれたコンスタンツはまるで天国だった。目にする景色すべてを絵に描きたいと思った。実際、朝から晩まで絵を描き続け、早く翌朝にならないかと思いながら就寝するほど、絵を描くことが楽しくて仕方なかった。
部屋を借りる前に一週間泊まっていたホテルのオーナー夫妻と親しくなり、新しい家に住み慣れたことを伝えに訪れた際、「ベッドメイキングをしていた人が辞めたから、代わりに仕事をしないか」と聞かれ、アルバイトをしながら絵を描く生活が始まった。
自転車を購入し、30分かけてバイトへ向かう道中、美しい自然を目にするたび今まで感じたことのない幸福感を感じた。