2025/03/04

3.油性色鉛筆の存在を知る

 
Susanさんから返事が届いた数ヶ月後
もう一人のアーティストから返事が届いた。

アメリカの住所に送ったAnn James Masseyさんへの手紙は
現住所のあるパリへ転送され
「それゆえ返事が遅くなった」と詫びて
丁寧に質問に答えてくれている。
そして「もしもパリへ来ることがあれば
いつでも私の原画を見に来て良いよ」と書いてある。

感激した。
絶対に行きたいと思った。

厚かましいけれど本当に原画を見に行って構わないかと
Annさんへ連絡をすると、時間を取ってくれると返信が来た。

写実的で細かな色鉛筆アート作品を
描くアーティストさん達たちは
少し厳格な人なのだろうと
勝手なイメージを抱いていたが
SusanさんもAnnさんも
とても明るく朗らかで優しい人だった。

見ず知らずの私にAnnさんは色んな事を
教えてくれただけでなく
お気に入りのパリの場所を案内してくれた。

Annさんと2人でパリの地下鉄に乗った時、
車内の空調が効いておらず、お土産でプレゼントした扇子を
早速取り出し、前にいる乗客へも Fresh air!と言って
あおいであげていた光景を、今でも鮮明に覚えている。

アーティストそれぞれ好みの画用紙があることや
色鉛筆には油性と水性があることも、Annさんが
教えてくれた。

水性色鉛筆が日本で一時ブームになったことがあり
水に溶ける色鉛筆の存在は知っていたが、
油性の色鉛筆があることは知らなかった。

今はネットを開けばたいていの物は買える。

けれど、アメリカの色鉛筆アーティストさんたちが
愛用しているという油性色鉛筆を手に入れるのは
当時は簡単ではなかった。
いくつかの画材店を巡りやっと見つけた記憶がある。

『Prismacolor』として販売されている、そのアメリカ製の
油性色鉛筆は、取扱い会社変更によって、以前は
『Eagle』 や『Berol』の名前で売られていたらしい。
Annさんがくれた何本かの色鉛筆に、それらの名前が刻まれている。

日本ではベステックという代理店が
アメリカから『Prismacolor』の芯を取り寄せ
製造加工し『カリスマカラー』として販売していたが、
2024年12月末で製造終了になった。

カリスマカラーの品質に近い製品
『DesArt COLOR/デザートカラー』が新発売になる旨
ベステックのサイトに掲載されている。

今では画材店の棚にわかりやすく分類された
「油性色鉛筆」と「水性色鉛筆」が
一本ずつ単品で購入できるようになっている。

『アメリカの色鉛筆アート』に載っていた
写実的な絵画作品が描ける色鉛筆は
『Prismacolor』以外にも多種ある。

パリへ行った5年後に、そのことを知ることになった。



4.余談|色鉛筆の違い