色鉛筆アート教室を始めて10年ほど経った頃
『大人の塗り絵』が認知症予防になるとして
人気になった。
当時、"手を動かし色を塗ることは、そりゃ
脳にとって良いだろう”という漠然とした
認識しかなかった。
しかし毎年行なう展覧会で
「大人の塗り絵を買ったけど、
見本みたいに上手く塗れないから1ぺージでやめた」という
声を何度となく聞き、
単に、色を塗ることが脳に良いわけではないと
思うようになっていた。
そして教室を始めて15年経った頃から
脳の働きに深く興味を持ち、自分自身の経験も鑑みると、
色を塗るだけでなく、色の濃淡(グラデーション)を作ることが
脳を活性化させるのだと思うようになった。
『大人の塗り絵』は、子どもの塗り絵とは違う。
名画や、立体的な花の絵や、遠近感のある風景画が
見本になった『大人の塗り絵』を塗るには、
色を徐々にぼかしグラデーションを作る必要がある。
つまりは、色鉛筆を手に持ち、ひと筆ひと筆、
自分自身の手の動きをコントロールし、色をぼかし、
そしてグラデーションができると、平面的な画用紙の上に
立体的な物体が浮き出ているように見え、
それが出来ると嬉しくなり、脳が喜ぶことになり、
脳が活性化する。
そう思った。
徐々に濃淡を変化させるのは
簡単そうで簡単ではない。
練習が必要だ。
でも、できるようになりたいと思い
正しい方法で練習すれば、グラデーションは
できるようになる。
何事にも、得手、不得手がある。
でもグラデーションができるかどうかは、
才能の有無で決まるのではない。
自分を信じて努力するか否かだ。
☆徐々に濃淡が変化するグラデーション☆
★濃淡に境目があるグラデーション★
(ダーツのように見える)
試しに大人の塗り絵をしてみたが、私自身は、
描かれた枠の中を塗るだけでは満足いかず、
それほど楽しさを感じられなかった。
折角アートレッスンを習いにくるのだから、
一から自分で描けるようになった方が良いのではとは
思うけれど、でも自分が満足できるなら、
色塗りだけを楽しんでも構わないと私は思っている。
絵の具とは異なり、色鉛筆は手軽に使える。
だから初心者の人にこそ、まずは色鉛筆を使って
絵を塗る楽しさを知ってもらいたい、そして
好きな絵をいろいろ描いてもらいたい。
そうすれば
描けなかった絵が徐々に描けるようになり、
色鉛筆がきっかけになって、自分自身の可能性を
感じてもらえるのではないか、結果的に
色鉛筆の価値が見直されるのではないか、
という思いが強くなっていった。



