2025-07-05

16.「大人の塗り絵ってどう?」

色鉛筆アート教室を始めて10年ほど経った頃、『大人の塗り絵』が認知症予防になるとして人気になった。

当時、"手を動かし色を塗ることは、そりゃ脳にとって良いだろう”という漠然とした認識しかなかった。

しかし毎年行なう展覧会で、「大人の塗り絵を買ったけど、見本みたいに上手く塗れないから1ぺージでやめた」という声を何度となく聞き、単に、色を塗ることが脳に良いわけではないと思うようになっていた。

そして教室を始めて15年経った頃から脳の働きに深く興味を持ち、自分自身の経験も鑑みると、色を塗るだけでなく色の濃淡(グラデーション)を作ることが脳を活性化させるのだと思うようになった。

『大人の塗り絵』は、子どもの塗り絵とは違う。名画や、立体的な花の絵や、遠近感のある風景画が見本になった『大人の塗り絵』を塗るには、色を徐々にぼかしグラデーションを作る必要がある。

つまりは、色鉛筆を手に持ち、ひと筆ひと筆、自分自身の手の動きをコントロールし、色をぼかし、そしてグラデーションができると、平面的な画用紙の上に立体的な物体が浮き出ているように見え、それが出来ると嬉しくなり、脳が喜ぶことになり、脳が活性化する。

そう思った。

徐々に濃淡を変化させるのは、簡単そうで簡単ではない。練習が必要だ。でも、できるようになりたいと思い、正しい方法で練習すればグラデーションはできるようになる。

何事にも、得手、不得手がある。でもグラデーションができるかどうかは、才能の有無で決まるのではない。自分を信じて努力するか否かだ。



☆徐々に濃淡が変化するグラデーション☆

©atelier ilohacolour


©atelier ilohacolour

  (球体っぽく見える)




★濃淡に境目があるグラデーション★

©atelier ilohacolour

 ©atelier ilohacolour


  (ダーツのように見える)





試しに大人の塗り絵をしてみたが、私自身は、描かれた枠の中を塗るだけでは満足いかず、それほど楽しさを感じられなかった。

折角アートレッスンを習いにくるのだから、一から自分で描けるようになった方が良いのではとは思うけれど、でも自分が満足できるなら、色塗りだけを楽しんでも構わないと私は思っている。

絵の具とは異なり、色鉛筆は手軽に使える。

だから初心者の人にこそ、まずは色鉛筆を使って絵を塗る楽しさを知ってもらいたい、そして好きな絵をいろいろ描いてもらいたい、そうすれば描けなかった絵が徐々に描けるようになり、色鉛筆がきっかけになって、自分自身の可能性を感じてもらえるのではないか、結果的に色鉛筆の価値が見直されるのではないか、という思いが強くなっていった。