2025-07-13

17.モチベーションの変化

 2004年に始めた色鉛筆アート教室は、ありがたいことに大阪以外でも開催できるようになっていった。

私のホームページを見て講座開講の依頼をいただいたり、インターネットで検索し講座を開講したい旨をこちらからも申し出た。

展覧会の開催を告知をしてもらえるように、各新聞社へ手紙を添え案内状を送ったことが、新たに講座を開くきっかけにもなった。

一人でも多くの人に、色鉛筆の可能性を知ってもらいたい。

自分が今できることを考え、行動することは、とても楽しかった。新たなことを始めることは、私にとっては問題なかった。

それよりも、継続することの方が難しいと思った。でも何かを広めるためには辛抱強く続けるしかないと思い、展覧会を毎年行い、会場に机を置き、来場者に体験レッスンを受けてもらえるようにした。

しかしながら、教室や展覧会を継続するためのモチベーションは徐々に変化していった。

「絵心がないから絵を描くことができない」と言う声を何度も聞き、“Fine Art (=絵画作品)を描く画材として、色鉛筆が広く認知されること”よりも、“もっと多くの人に絵を描く楽しさを知ってもらいたい”、“色鉛筆がきっかけとなって、自分自身の可能性をもっと感じてもらいたい”という願いの方が強くなっていった。

そして同時に、教室を開講し展覧会を開催し始めてから約10年経っても、毎年展覧会々場で「これ色鉛筆で描いた絵?」と同じ質問が繰り返されることに倦怠感を感じ、新たなことに挑戦したいという好奇心が湧いてきた。

そんな私の感情がいろいろと相まって、“好奇心や、逆に一歩が踏み出せない警戒心を人が抱く時、つまり、人が感情を抱き、思考し、そして行動する時、あるいは行動しない時、一般的に人の脳はどのように働き、人生が決まっていくのか”に、興味を感じ始めた。

思い返すと画集『アメリカの色鉛筆アート』に惹かれ、色鉛筆に興味を持ち、絵を描き始めてから、そもそも“興味”はどこからやってくるのか?と、ずっと疑問を持っている。

私は疑問を持つと解決せずにはいられない。ある時、興味の起源には脳が関係しているはずだと思い、書店で見かけた脳科学の本を読んだが、“興味がどこから来るか”は脳科学でも未解明だと書かれていた。

しかしその脳科学の本が読みやすく、脳のしくみについて知っていくと、同じ画材を使い、同じピーマンの絵を見て描いても、受講生それぞれ違う絵ができることはまったく不思議ではない、と納得した。また、絵を描き始めてから私の音痴が解消されたことが腑に落ちた。

人の脳は、一般的に思われているより、自分が思っているより、はるかに精密に機能しているらしい。年齢を問わず、より精密に機能させることもできるらしい。

今まで、何かを広めるためには辛抱強く続けるしかないと思っていたが、目的を果たすための方法として、“~しかない”ことは決してないはずだ、苦手なSNS発信を嫌々使わなくても他に方法はあるはずだ、と思った。