2004年1月に開講した色鉛筆アート教室は、水曜日クラス1つ、土曜日クラス1つ、日曜日クラス2つができ、それぞれ月1回レッスンを行なった。
(以前の私のように)“色鉛筆アート”を知らない受講生さん達に対して、「色鉛筆の使い方」、「混色の仕方」、「下絵の描き方」など初心者向けの基本のカリキュラムを進めた。
一般的に、“色鉛筆は弱い筆圧で塗るもの”、“薄い色から塗り始めるもの”という固定観点がある。ぬり絵をする時は、輪郭線をはみ出さないようになぞり内側はサ~っと軽く塗る、また、色鉛筆は混色できず重ねて塗ると色が汚くなる、と思っている人が多い。
そのため新規入会時の初回レッスンでは必ず、色鉛筆は筆圧を変えて塗ることができること、そして混色できることを知ってもらうことから始めた。
またどうすれば、枠の中をムラなく同じ濃さで塗れるのか、「筆圧加減の仕方」や「色鉛筆の動かし方」などをレッスンし、カリキュラムを進めていった。
加えて、自分自身で下絵が描けるよう、キュウリやサクランボなど簡単な課題から始め、カリキュラムの課題を徐々にステップアップさせていった。
例えば、体験レッスンの課題にしているピーマンの、私が描いた絵を見本にして、全く同じ色鉛筆の色を使って描いてもらっても、出来上がる絵は受講生それぞれ全く違う。
それぞれ筆圧が違い、できあがる色の濃さが違う。形も違う。そもそも視力や色覚は違うから、見え方は人それぞれ違っている。同じ絵にならないから、レッスンをしていて楽しく面白いと思った。
そんな受講生作品を、色んな人達にも見てもらいたい、色鉛筆の魅力や可能性の幅広さをより多くの知ってもらいたいと思い、教室開講から半年ほど経った頃、次回の個展を行なう際に受講生にも絵を出展してもらおう、と決めた。
自分の絵を出すなんて・・と初めは皆渋い顔をしたが、各自好きなものを選びオリジナル作品の制作を始めてもらった。
そしてその年の11月に第二回目の個展を行い、会場の一部に受講生十数名の作品23枚を展示した。色鉛筆メーカーや画材メーカーに案内状を送り、受講生各自も友人知人に案内状を送ってくれて、多くの来場者に来てもらうことができた。たまたまギャラリーを覗いてくれる人も沢山いた。
出展した受講生の方々に「絵を描く励みになる」と喜んでもらえたことが嬉しく、『受講生グループ作品展』を毎年開催しようと思った。
ただ、ある来場者に「受講生の人の絵は、やっぱり先生の絵に似ますね」と言われてショックを感じた。色々教えたいから色々言い過ぎて、私が描く絵と似てしまうことになってしまった。折角の個性を失ってもらいたくない。教え方を見直さねばと反省した。
そして、もう一つ残念なことがあった。受講生の絵を見て「みんな元々絵を描く才能があったんですよねぇ~、私は無理」と言う来場者がいた。描いたことがあるのか尋ねると、絵心がないから絶対無理だと言う。
なぜやりもしないで、できないと決めつけてしまうんだろう。同じように「絵心がない」と言いながら描き始めた受講生は、実際に描けるようになっている。そう伝えると、「みなさん元々絵心があったんですよ~」と言う。才能の有無で片付けようとする。
絵に限らず、誰もが何かしらの可能性の種を持っていて、それを開花させるかどうかは自分の努力次第だと私は思っている。
直接的な努力だけではない。間接的な努力で花開くこともある。私は警察官になるために努力したが、その努力が足りなかった。でも何かをしようと努力したことに変わりはない。結果的に、絵を描き、教えるという自分の可能性に気づくことができた。
努力することなく「才能がない」で終わらせる人の話を聞いてとても残念に思い、また受講生や私の努力が認められず、才能という言葉で片付けられてしまうことに、やるせなさと悔しさを感じた。