一般的に、多くの人が
“色鉛筆は弱い筆圧で塗るもの”
“薄い色から塗り始めるもの”
という固定観点を子供の頃から持っている。
思っている人や、ぬり絵をする時は、輪郭線をはみ出さないように
なぞり内側はサ~っと軽く塗る人も多い。
だから教室では、初回レッスンの時に必ず
色鉛筆は筆圧を変えて塗ることができること、
そして混色できることを知ってもらうことから始めた。
またどうすれば、枠の中をムラなく同じ濃さで塗れるのか、
「筆圧加減の仕方」や「色鉛筆の動かし方」などをレッスンし、
カリキュラムを進めていった。
加えて、自分自身で下絵が描けるよう、
キュウリやサクランボなど簡単な課題から始め、
カリキュラムの課題を徐々にステップアップさせていった。
けれど完成する絵の出来具合はいつも様々。
例えば、体験レッスンの課題にしているピーマンの、
私が描いた絵を見本にして、全く同じ色鉛筆の色を使って
描いてもらっても、色んなピーマンの絵が出来上がる。
それぞれ筆圧が違い、
できあがる色の濃さが違う。
形も違う。
そもそも視力や色覚は違うから、見え方は人それぞれ
違っている。
同じ絵にならないから、レッスンをしていて
楽しく面白いと思った。
そんな受講生作品を、色んな人達にも見てもらいたい。
色鉛筆の魅力や可能性の幅広さをより多くの知ってもらいたい。
そう思い、教室開講から半年ほど経った頃、
次回の個展を行なう際に受講生にも
絵を出展してもらおう、と決めた。
自分の絵を出すなんて・・と初めは皆渋い顔をしたが、
各自好きなものを選びオリジナル作品の制作を始めてもらった。
そして教室を始めて1年目、私個人の第二回目の個展を行った時に
会場の一部で、受講生十数名の作品を展示した。
色鉛筆メーカーや画材メーカーに案内状を送り、
受講生各自も友人知人に案内状を送ってくれて、
多くの来場者に来てもらうことができた。
たまたまギャラリーを覗いてくれる人も沢山いた。
出展した受講生の方々に「絵を描くモチベーションになる」と
喜んでもらえたことが嬉しく、『受講生グループ作品展』を
毎年開催することにした。(→受講生作品展)
ただ、ある来場者に「受講生の人の絵は、
やっぱり先生の絵に似ますね」と言われ
ショックを感じたことがあった。
色々教えたいから色々言い過ぎて、
私が描く絵と似てしまうことになってしまった。
折角の個性を失ってもらいたくない。
教え方を見直さねばと反省した。
そして、もう一つ残念なことがあった。
受講生の絵を見て「みんな元々絵を描く才能が
あったんですよねぇ~、私は無理」と言う来場者がいた。
描いたことがあるのか尋ねると、
絵心がないから絶対無理だと言う。
なぜやりもしないで、できないと
決めつけてしまうんだろう。
同じように「絵心がない」と言いながら
描き始めた受講生は、実際に描けるように
なっている。
そう伝えると、「みなさん元々絵心が
あったんですよ~」と言う。
才能の有無で片付けようとする。
絵に限らず、誰もが何かしらの可能性の種を
持っていて、それを開花させるかどうかは
自分の努力次第だと、私は思っている。
直接的な努力だけではない。
間接的な努力で花開くこともある。
私は警察官になるために努力したが、
警察官にはなれなかった。
でも努力したことに変わりはない。
結果的に、絵を描き、教えるという
自分の可能性に気づくことができた。
だから努力することなく「才能がない」で
終わらせる人の話を聞いた時
とても残念に思った。
受講生や私の努力が認められず、
才能という言葉で片付けられることに
やるせなさと悔しさを感じた。